私は意を込めて彼に尋ねてみる。
「ん?」
「あんまり、スッキリしなかったかな」
「…そっか」
「もっとスッキリするものだと思ってた。話し合えば全てが解決するわけじゃないとは思うけれど、でもここまで意味のない話し合いをしたくなかった。なんで…」
「意味はあったよ」
彼の言葉に、私の言いかけた文章は消え失せる。
「月果が言いたいことを言うことができたってのは、大きな意味じゃないの?」
「…そうなの、かな」
「普段はお母さんに遠慮してうまく言えなかったんだろ?それを、今日は言うことができたんじゃん」
「…確かに」
それは大きな進歩だ。私は今までずっと、言いたいことを我慢してきた。
だけど、それを今日は解き放つことができた。
「もっと自信を持てよ」
「…」
「自信を持たないと何も始まらないよ?
じゃあさ、聞いてみるよ。俺と会う前の月果と、俺に会った後の月果。どっちが好き?」
「それは、…莉音に会った後の私」
「だろ?ってことは、自分に多少ではあるけど自信がついてるってことなんだよ。
自信ってのは良い環境に行けば行くほどついていく。でもそれより自分の考え方を帰る方がよっぽど強いと思う」
「…私、変わりたい」