「本当に鈍臭い女ね。こんなのがジルゲイル様の隣で並んで歩くなんて……考えただけでも腹が立つ」
「あの、助けていただいきありがとうございます」
倒れた姿勢から元に戻りながら、スカートの裾に着いた土埃を払う。
自分の存在がこの人をイラつかせていることは十分承知だったが、ここは素直にお礼を述べて引き下がろうと男の子の手を取った。
「勘違いしないでくださる?耳障りな声を聞いていたくなかったのよ。一体こんな場所に何の用があるのか――」
ルリナさんが嫌々といった表情で見つめてきたかと思えば、今度は私の胸元に視線を向けた。
何故そんな所に目を向けたのか、それを理解するのに数秒も掛からなかった。