「違う……違う、ってば」


体の反応を誤魔化すように否定するけれど、ジルの腕に込める力は益々強くなるばかり。


逃げ出したい気持ちでいっぱいなのに、どうしても体は言うことを聞いてくれない。


むしろ力が抜けていくような感覚に、立っていることも難しくなってくる。


「嘘をつけ」


「嘘なんかじゃ、ないっ」


突然のことにドキドキしてるだけであって、ジルに対してドキドキなんかするわけ……ない。


こんな状況下におかれてドキドキしない方がおかしいんだから。


「今だったらその嘘を取り消して、認めればこの腕を解いてやる。ただ嘘だと言い張るなら……そうだな、あんたの首にキスする」


衝撃発言に尚更体温が上がったのが不覚にも簡単にバレてしまい、くつくつと笑うジルの声が耳元で響く。


な、何よ、キスって!何を理由にそんなことしてくるわけ?!


どうしてこんな状況になっているのか、誰か分かりやすく教えてよ!!


「さあ早く認めろよ。俺の事を意識してーーときめいてるって」


「だっ、だから!」


違う、そう否定しようと口を開きかけたその時、首に吐息がかかりーー。