そこでもジルとフェイムは名のある人気の存在として皆から慕われる姿を、影でこっそり覗き見するしかできない。
村の女性からは虫を払うような扱いばかりで、居心地悪い思いしかないし。
私が聖女だということを誰一人として知らないお陰で、大事にはなっていないけど、扱い方はもう少し改善してもらいたい所ではある。
顔が良すぎる二人と、しかも騎士団長を務めている相手にベッタリとまとわりついていれば、そりゃあ嫉妬もするだろうけども。
私は空気となりますから、どうかその矛先を私に向けないで頂きたい。
村の住民総出で宴が開かれたのにも関わらず、私は貸して貰えた部屋の一室で夜空を見上げていた。
「ふぅ……」
ため息を着いては慌ただしい毎日も、大森林まで到着してしまえば、全てが終わるのだと自分に言い聞かせるを繰り返していた。
楽しそうな人々の声は窓を締め切っていても入り込んできて、私の鼓膜を微かに揺らす。
その声が妙に私のことを蔑み笑っているように思えて、どんよりとした重い何かが心にのしかかった。
――落ちこぼれ、それが身に染みて実感してしまう一日になっちゃったなぁ。
神殿にいる時はそれなりに修行も積み重ねて、大きな結界をずっと維持できるようになったし、騎士団の回復役担当になるまで実力が結果になってきていたのに。
人間には宿る魔力量はそれぞれであっても、自分にあった役職があるが故に力の使い方は無限大、なんて教わったけれどそれは訂正する必要がありそうね。
……昔の私とは違うって頭では分かってはいるのに、力がない自分を認めたくない私がいる。