歯向かうつもりも何にもないんだけど、この人だけは絶対に敵に回しちゃいけないと本能が私に訴えかけてきたのだった。


ただ怒り口調で私に怪我はないかとか、疲れてないかと時折声を掛けてくるジルに調子が狂う。


あれだけ私に威嚇して牙を向けてくるし、任務をさっさと終わらせたいなんて言うのに、本当に――変わってる。


ジルからしたら、私という人間の子守りをしている気分なんだろうけど……。


村の依頼であった魔物を倒し終わった私達は、平和になった山道を通って隣の村へと到着する。