関わらないようにそう思っていても突っかかってくるのが向こうなのだ、私のせいじゃない。
「それは残念でした。私だって基本は早起きなので」
眉間にしわを寄せながら言い返すものの、ジルは何一つ私の反応を見ることなく用件を伝えてくる。
「朝食を済ませたら、村長からの依頼を片付けてすぐ出発する」
「依頼?」
昨日の時点ではそんな話上がってなかったけれど、私が寝た後に村長と話すタイミングがあったのだろうか。
面倒な事に首を突っ込んでいる時間があるなら、別に私の少し寝坊したくらい些細な事だと思ってくれないのかな。
「村と村とを繋ぐ山道に魔物が出現しているらしい。言っておくが、ここは俺が遣える王の領地の一つ。魔物を見逃しておく騎士がこの国にいると思うなよ」
何となく顔に私の考えが滲み出てしまったのだろうか、さっきは私の反応なんか無視したくせに。
踵を返して廊下を歩いていくジルに、はいはい、と小さく返事を返してその後ろを追った。
フェイムも準備万端のようでやって来た私に、おはようと挨拶を投げてくれた。