朝一の風が、閉まりきっていない窓の隙間から流れ込んできて、私は肌寒さに目を覚ます。


元々祈祷の時間は日が昇るのと共に行うのが日課で、朝早く起きることには慣れていたけれど、不慣れな旅のせいか今日は少しだけ寝坊した気分だ。


壁際に並べられた二人の寝床は、もうとっくにものけのからになっていた。


急いで着替えて身支度を整え部屋を出ると、丁度部屋へと戻って来たジルとばったり遭遇した。



「おはよう……ってなんでそんな残念そうな顔をしているの?」


「起きてなかったら置いていくつもりでいた」



あー置いていく、そうかそうかって……ほっんとに性格悪い!


強引に話をつけて護衛を頼んだのは私だし、こちらの行動が遅くなるとその分、王からの任務に時間を回せないってのもあるのは分からなくもないんだけど。


それにしたって容赦がない。