そんなハプニングにもジルは焦る素振りも見せることなく動物たちを蹴散らし、有り余った体力を見せつけてくる。


流石騎士団隊長と言うだけあって、剣捌きはそこらの剣士には比べ物にならないくらいに動きが機敏だった。


ジルの動きをサポートするようにフェイムの魔法による援護もあり、二人の戦いっぷりは見てて飽きることはない。


私はただそんな二人の足でまといにならないように、戦いが終わった直後は怪我を確認し治療に当たろうとするものの、傷一つない二人にはいらない存在になってしまうのだけれど。


そんなこんなでようやく村に辿り着いた頃には日が傾きかけていて、疲労感もどっと押し寄せてくる。


すぐに休憩と言いたい所だけれど、村の村長に少し長めの挨拶をして、一晩泊めてくれる場所へと案内してもらい、そこでようやく腰を下ろして休憩できる部屋へと辿り着いた。


ああ、久々のベッドだ……視界がじわりと滲むことに気づいて目を擦ると涙が手の甲に流れ落ちる。