し、死ぬかと思った!!一体何をしたの?!
リュードルに一言言ってやろうと顔を上げるが、視界に映りこんだ“それ”に感情が静まり返る。
「わた、し……?」
しっかりと私の手を掴んで支えてくれているのは、紛れもなく私だった。
ビックリした反動でもう一人の私から離れるけれど、反応は何一つなく瞳は虚ろで、無表情の私はとにかく可愛げがない。
『お前の力の器になる人形だ。聖女としての力はこの人形内に取り込んだ。いざと言う時はこの人形から力を使い、応急処置をする』
「つまり今の私には、聖女の力はないってこと?」
『左様。元々のお前の魔力量が少ない故に、聖女の力を二つに分けることはできんのでな。簡単な回復魔法ぐらいは使える魔力は残しておいた』
目の前にいる私という人形の胸元には聖女の力を使う時に描かれる魔法陣が、しっかりと刻まれている。
試しにそっと手のひらで魔法を発動させようとするけれど、プスプスと音を立てて光の礫が焦げるように光を失いながら零れていく。