それを察してくれたのかフェイムはにっこりと微笑み、じゃあお言葉に甘えて、と堅苦しい雰囲気を解いてくれた。
「それにしても災難だったね。王子のご機嫌次第で追放されるなんて、少しこの国の未来が心配だ」
「全くだ。そんな人間が上に立ち国を統治していくと考えると、国家崩壊も免れんだろうな」
ジルの言葉は確かに悪いが、この状況に置かれて私もそれを痛感している。
クリフ王子が感情のままに動いてしまうのは、今に始まったことではない。
幼少期の頃から大事に大事に育てられたせいで、何事も思うがままになるとそう思い込んでいるんだろう。
陛下はそれに対しても何も言わず、甘えてくる我が子の言い分を全て承諾してしまう。
ここまでの間国が崩壊しなかったのも、間抜な王家の人間達に遣える使者達の才能があってこそ。
上に立つ人間を支えてくれる人間がまともな人達ばかりで、この国は崩壊することなく平和を保てているんだからおかしな話だ。