いつもずっと頭を下げて、怒り心頭に発した大人から投げつけられる言葉をただ受け流していたが、こればかりは流せない。
「私を責めないの?」
「何度も言わせるな。あんたは何も悪いことをしていない。現に被害者だ」
「被害者……」
何度かその言葉を心の中で繰り返し、確かにその言葉が私に適していると今更気づく。
「それに俺達の国もその馬鹿王子のせいで、魔物の被害が出ているのは確かだ。これは見逃してはおけない案件だ」
「ん?俺達の、国?」
そんな……この国での魔物による大きな被害というものは、報告されていなかったはず。
もしやと思いついたよりも先にジルが答えを発した。