これだから落ちこぼれはと言われるのは慣れている。


どうとでも言ってくれればいい、私はただ聖女として授かった力を無駄にする気は更々ない。


ただやっぱりこうやって頭を下げる時は少し身構えてしまうのは、まだ聖女としての覚悟が足りてない証拠なのかな。


風が通り抜けていくのと同じく、ジルの口が開かれた。



「あんたが謝る必要がどこにある」


「え……」



思わぬ声掛けに、拍子抜けた声が口から漏れた。


「あの馬鹿王子が。聖女の力を無下にするなど自分の国を脅かそうとしているのと同じこと。それにあんたは巻き込まれた、そうだろ?」


「でっでも、それは私が落ちこぼれだからでーー」


「そんな中途半端な奴があのドラゴンを鎮め、結界内に収めるなんて芸当ができるわけがないだろ」



嘘だ……こんな言葉投げて貰えたのは生まれて初めてでなんて反応したらいいのか分からない。