身に覚えのない情報に首を傾げていると、玉座から勢い良く立ち上がったクリフ王子が私の目の前にやって来ると、低い声を響かせた。
「これまでの行い、俺は全て知っているのだぞ。今更しらばっくれようとも、お前の勝ち目はないのだからな」
「あの……クリフ王子?」
「口を開くな。汚い声で俺の耳を汚すな」
駄目だ……これは何かに対して、もの凄くお怒りのようで私の言葉は聞く耳すら持たない。
この場での話のやり取りは、もうすべき事がないのは見え見えだけれど、クリフ王子は立ち去ることを許しはしなさそうだ。
どうしたものかと頭を垂らして考えていると、謁見室の扉が大きく開かれて一つの足音がこちらに近づいてくる。
「クリフ様!もういいです!それ以上は問い詰めなくてもっ……!」
少しだけ目線を上に上げると、綺麗なドレスに身を包んだ少女がクリフ王子に駆け寄ってくると、腕に抱きついて顔を擦り寄せた。