ーーこのジルって人は……どうやら本気のようで。



ここで自分の冒した恥じを捨てられず嘘をついてでっち上げるなんてことしたら、数分後の命の保証はない。


侵した記憶のない罪のせいでここにいるけれど、常日頃の行いが悪かった私のせいでもある……はず。


深呼吸をして気持ちを切り替えて私はこれまでの経緯を包み隠さず全てをさらけ出した。



「……王子と婚約破棄された、そこまでは良かったんですけど。身に覚えがない所で、王子の想い人を傷つけていたようで……その罰として、王宮を追放されました」



はい、なんとまあ簡潔した内容でしょうか。



これで分からないと言われた日には、少し泣きたくなるかもしれない。



あっさりと終わった私のこれまでの経緯に予想外過ぎたのか、口をぽかんと二人して開けている。



「聖女の力があるものの、私学園でも落ちこぼれで、傍から見ても本当に聖女かと疑われるんです。今までこのクリスタルのお陰で、聖女として身柄を証明出来ていたんですが……この事実を王子が知ったら国外追放間違いなし、ですね」


口にしてようやく実感が湧いてきた、国外追放という重たい罪が。


怒りで狂っていた王子がこの機を逃すなんてことは考えにくく、畳み掛けてくるに決まってる。


何とか命を繋ぐためにギルドに入って収入を得つつ、こうやって聖女の仕事も放り投げることもせずコツコツとやってきたというのに。


あまりにも結末はあっさりとやってくるんだと、生まれて初めて知るのだった。