指示された通りに後ろを振り返るや否や、私の思考は停止した。


「い、一旦作業中止ー!休憩ー!」


慌ててサヌエスさんが部下たちに声を掛けて、そそくさと退散させると、彼もまたこの場から立ち去った。


さっきまで心地よく吹いていた風が、妙にチクチクするのは多分私の精神的な問題だと思う。


目の前に立つ人を直視する事ができなくて、私は視線を泳がせるしかない。


「久しぶりだな。リゼ」


少しだけからかうように笑う彼の声に、この場から消えたくて消えたくてしょうがない。


「なんでここにいるのよぉ……ジルッ!」


堪えきれなくなって、両手で顔を覆いながら真っ赤になった顔を必死に隠す。


だー!さっき可愛らしい女でありたいのに〜なんてこと考えてたのに、堂々と逞しくなった所見せつけちゃったじゃない!!