その為には頼まれた仕事を、少しでも多く終わらせるわよ!
気持ちを切り替える為に、報告書の下に力強くサインをして、頼まれていた力仕事に取り掛かろうと袖を捲った。
「手伝う」
「ありがとう。じゃあそこ持ってくれる?」
「分かった」
砦内に建設を始めた馬小屋の木材運びをしようと、声を掛けてきた一人の男性に指示を出して、木材を持ち上げる。
せっせと運びながら、行き交う人達の視線がやけに集まっているような気がする。
でもこんな中途半端な所で動きを止めたら、邪魔になるだけだと建設場所まで木材を運び切る。
建設担当の大工、サヌエスさんに運んで来たことを報告すると、目を点にしたように呆けた顔で私を見つめてくる。
「何?頼まれた通り運んできたのに」
「……あ、リゼの嬢ちゃん……その」
「これじゃなかった?でも言われた所にはこの木材しか置いてなかったわよ?」
何故かばつが悪そうなそんな顔をするサヌエスさんに首を傾げていると、恐る恐ると言った様子で彼が私の後ろを指さした。