今日も今日とて、忙しくなりそうね。
「日に日に逞しくなっていくなあ、リゼの嬢ちゃん」
「これだけの仕事量を的確にこなしているんですから、無理もないですよ」
「でも僕知ってるよ〜!逞しいと女の人ってモテないんでしょ〜?」
「それに仕事に熱中しすぎると、いつの間にかコンキとかっていうのを逃すんだってお母さんも言ってた!」
「抜け駆け聖女様、大変だね!」
「馬鹿っ!聞こえてたらどうすんだよ!」
遠くから聞こえる兵士見習いの無邪気な子供達の言葉に耳を塞ぎたくなるのを、ぐっと堪えて平常心を保つ。
逞しくなりたくてなってるわけでもないし、仕事が好きで仕事を大量に受け持ってるわけでもないのに……!
出来る女にはなりたいけど、近寄り難い女にはなりたくない。
どちらかと言えば可愛らしい女でありたい……のに。
あの日以来会っていない彼に、引かれたりしたらどうしよう。
想い人を思い描いては、思わずため息を吐き出してしまった私は、ぶんぶんと力強く頭を横に振った。
今日は月に一度の監視の人がやって来る初めての日なんだから、粗方仕事を終わらせて砦付近を案内しなきゃ。