「ジル!知っててやったわね!」
「いいだろ?俺の女だって示しつけておかなきゃ気が済まなかったんだよ」
ケラケラと笑うジルから離れようとするけれど、暴れる分だけジルが抱き締める力を強めて逃がしてはくれない。
「んもぉーー!!ジルなんて大っ嫌い!!」
なんであんな場面で口走ってしまったのかと、後悔しかない。
ただ……好きという気持ちを伝えられた自分に、大きく変われた自分に、少しぐらいのご褒美はもらっておかなきゃ損かもしれないと思ってしまう。
大好きな人の腕の中で、幸せを感じれるこの喜びは何よりのご褒美だから。
ただあまりにもジルが私のことを離してくれなくて、そろそろいいかなと頃合を見て、城の動ける人を引き連れて帰ってきたのにジルは離してくれず、
暫くの間『抜けがけ聖女様』なんてあだ名が私についてしまったのだった。