それを見逃さなかったフェイムがメイの自由を拘束させる植物の蔦を身体中に張り巡らせ、その隙に私は彼女の懐を漁る。
「あたしに触るな!このクソが!」
固いクリスタルの感触が手に触れ、暴れる彼女の懐から勢い良く取り返す。
ただ手元にやって来たクリスタルの姿に目を見開いた。
「何……これ……」
触った感触は確かにクリスタルそのものではあるものの、見た目はつぎはぎだらけという言葉が似合うような不格好なクリスタルだった。
その上、光は宿ることはなく禍々しい黒い渦がクリスタルの核の内部で怪しく揺れている。
そんなクリスタルでも私の力がこの中にあるということは、何となくだけど本能がそう訴えている。
「リゼさん!離れて!」
フェイムの叫び声にクリスタルから目を離し、状況を確認しようと周りを見渡すよりも先に左腕に激痛が走る。
「っう……!」
いつの間にかフェイムの拘束から逃れたメイが短剣を振るい、私に襲いかかって来ていた。