その後ろ姿を見届けた後、結界を張り直してほっと胸を撫で下ろしていると、背後から草木を分けて進んでくる足音が聞こえてきた。
「ジル!」
振り返ればそこに宵の空のような淡い紺色のローブを身にまとったもう一人の男性が、先程私を助けてくれた男性に駆け寄っていた。
ジルと呼ばれた助けてくれた男性は、私が治した傷口に目をやりながら駆け寄ってきた男性の肩を借りながらゆっくりと起き上がる。
「僕が戦力にならないからって突っ走て!!自分が死ぬ寸前だったって自覚ある?!」
「俺が剣を取らなきゃ今頃フェイム、お前が先に死んでたぞ」
「怪我までしてーーって、傷口が……塞がってる?」
「……そこにいる彼女に助けられた」
そう言う割には私に不振な目を向けてくるジルは、心配の中に驚きを隠せていないフェイムと呼んだ男性に私の存在を知らせる。