リアジュウ……?新手の呪文か何か……?


ジルも同じことを思ったのか警戒して少し距離を取ると、メリダは一旦動きを止めて溜まってきたものを吐き出すように声を荒らげた。


「大事な大事なJKっていう称号もなくなって!スマホもテレビもないし!ご飯だって美味しくないし!可愛い服もない!学校の友達も、どこにもいない!歳だけ取って、聖女にもなれなかったあたしは捨てられてこんな異世界で不貞腐れない方がおかしいのよ!」


「お前……もしかして」


「いい!?リゼ・マーキアス!その脳みそが詰まってない頭に、しっかり叩き込みなさい!あたしの名前はアラキ メイ!この国の裏で陰謀を抱えていた奴らに召喚された異世界人よ!!そしてあんたに、この世界に復讐するためにあたしはあんたを殺す!そして、あたしの能力でこの世界全てをあたしのものにする!」


異世界人……一度だけ先代に御伽噺を交えた話をされた記憶が蘇った。


全く異なる世界からやってくるというその者は、自分達では考えのつかない生活で生き抜いているのだと。


ただ異世界から来たからだとか、捨てられたからだとか、そんな理由だけで心を黒く染めるのは間違ってる。


聖女という神聖な役職を、この子のせいで闇に飲まれるのだけは絶対にさせない。