怒りと憎しみが混じったそのオーラに一瞬だけ怯む。
「エルゼナート。あの女の血を浴びた時、遂に報われる日が来ると幸せを噛み締めたっていうのに」
「え……」
「最期まであんたの名前を呼んで、憎たらしい勝ち誇った笑みを浮べてながら死んでいったのよ?ムカついて何度も何度もその腹を刺してやったの、この私が!」
ふふと短く笑って腰元に隠していたであろう短剣を引き抜くと、何故か嬉しそうに顔を歪ませた。
短剣の切っ先から反射した光が微かに私の頬を掠り、刺されてもいないのに胸が張り裂けそうな程痛む。
それと同時に内に秘めていた怒りが、私の中で爆破した。
「あなたが……先代を殺した……?」
「そうよ。あたしがこの国の聖女になるために、あの女を殺して力を得るためにね!」
その言葉に全身の血が騒いだ。
漏れ出す魔力を抑えようなんて理性も残っていない。