答える義理もないのだろう。
いや、そもそも答えられる権利すらも与えられていないのかもしれない。
「答えろ。お前達は一体なんだ!何故、王国を襲うのか!」
怒りを顕にしたジルの問いでも男達は答えることは無い。
ただ人形のように操られるがまま、自分の意志などないようにクリフ王子に短剣を突きつけるだけ。
この場で起こった出来事をまるで、全て自分達がやったと、犯人は我々だと……そう示すように。
そんなはったりは今の私には通用しない。
ふと真の黒幕へと目を移せば、黒いローブの男達から後ずさり距離を取った彼女は、遂に玉座に足を取られそのまま座り込んだ。
座り込んだ際に聞こえた鈴の音に私はジルの横に出て、玉座に座る彼女を見た。
「答えて、一体何が目的なの?――メリダ」
口にした名前を聞いた人物……メリダは、少しだけキョトンとした表情を作って見せたけれど、仮面の裏側を簡単に表した。