叫び声を頼りに、辿り着いた玉座の間で見たのは、黒いローブに身を包んだ怪しい人物達と自由を拘束されたクリフ王子が床に押し付けられるように伏せていた。


抵抗することを諦めたのか、それまた抵抗する力が残っていないのか、クリフ王子の瞳は絶望が支配していてピクリとも動かない。


王子を囲む黒いローブの男達は私がやってきたことにようやく気づいて、クリフ王子を隠すように立ち塞がった。


その黒いローブの男達を驚愕した様子で見つめる見覚えのある彼女の姿は、わなわな体を震わせて玉座の方へと後ずさる。


「クリフ王子っ!」


駆け寄って助けようとする私を後ろから追いかけてきたジルが、腕を掴んでそれ以上進むなと制する。


構える剣の矛先は彼らに向けられ、警戒心をむき出しにしたジルの瞳は今までに見たことの無いくらい静かな怒りを宿していた。


黒いローブの一人がクリフ王子を無理やり床から引き剥がして立たせると、彼の首筋に短剣を押し当てた。


ジリジリと後ろにはけていく男達はクリフ王子を囮に何かしようとするつもりなのか、無言の圧力を掛けてくる。


「お前達は何者だ」


ジルの問いに答えるつもりはないのか無言を貫く姿勢に、彼は舌打ちを零す。