私が魔法を発動させるよりもフェイムが浮遊の魔法を使ったのか、急に体の落下が止まった。
「急に飛び降りる馬鹿がいるか!」
「違うんだって!今の私は今までの私じゃないんだから!信用してよ!」
「信用どうこうの話じゃないんだよ……あんたに怪我があったりしたら――って!分かれ!」
何にそんなに不満があるのか問いただしたかったけれど、上空の影が動きそんな時間は私達にはないと嘲笑っていた。
「痴話喧嘩は後にしてくれる?」
「そんなんじゃねえよ!」
「はいはい」
こんな事態になっても不安な気持ちがないのは、きっと彼らが私の進むべき道を示してくれているからだ。
地上から聞こえてくる逃げ惑う人々達の声と足音で包まれた街を一旦見渡してから、城を見つめた。
私の視線の動きに気づいた二人も城に視線を動かした。
「どうやら……城自体にも随分と強力な結界が張られていて外からじゃ入れなさそうだね」
フェイムの言う通り、よくよく見れば城壁に沿って揺れる結界の壁が来る人を拒むように半円を描いている。