それに犯人の目星は粗方もう着いている。


ジルと盗賊達との戦いの末に見つけた、犯人の唯一の証拠を私はしっかりと掴み取った。


ただ私を殺してまでして力を得たい理由は分かるわけもなく、胸騒ぎでどうにかなりそうな体を抑えるのに必死だ。


ぐっと手に力を込めていると、温もり覆いかぶせるように私の手をジルが握ってきた。


「守りたいものを守る。だから戦うんだろ。暗黒竜なんかが復活してしまえば、アンゼリオ国だけじゃなく他の国の多くの人が傷つく。それを止めるために俺達は敵陣に乗り込むんだ」


「強い騎士と才能のある魔道士がついてるからさ。リゼさんはいつも通り守りたい気持ちを強く持っていて」


私を鼓舞するようにジルとフェイムが声を掛けてきてくれて、固く動かなくなりそうになっていた私の緊張を溶かしてくれた。


そうだ……あんな魔物を復活させてしまえば、多くの命が失われることになる。


その前に絶対に私が止めなきゃいけない。


今度は絶対に誰一人として悲しい顔をさせない、させるもんか。


それに今の私は一人じゃない。