『簡潔に話す。リゼが旅に出た直後、あの家に城の兵士達がお前のことを暗殺しにやって来た』
「久々に会ったっていうのに、物騒な話から入るのねえ……」
暗殺って、私がいつ誰かに命を狙われるような悪巧みをしたっていうのよ。
こっちは最初から被害者側っていうことを公に晒したところで、誰も聞く耳は持ってくれないんだろうけど。
『事前に察していた我はお前の中に入り、器を守るべくお前に成りすましながら生活していた。あの馬鹿王子の差し金かと調べてみたものの、それらしき手がかりは全くなかった』
「クリフ王子が暗殺なんてするわけないじゃない」
『なんだ、庇うのか?』
「そうじゃなくて、あの人だったら兵士を何千人と引き連れて数で勝負してこようとするわよ」
無駄な権力の使い方をして、暗殺なんて地味なことなんかせずに自分がやりたいように盛大に私を懲らしめるに決まってる。
『ああ、成程。それは馬鹿王子ならやりかねんな』
「それで?身を隠していたら家を壊され、命は常に狙われている、みたいな状況っていうこと?」
『そんな所だ。兵士が関与していたことから、城の何者かが糸を引いているのだけは確かだ』
魔法陣が出現しているのも、現に王都を中心として発動しているんだから、それは間違いない。