……まさか、リュードルまでも?!
家の心配はそっちのけで、すぐさま私の大事な家族を探すために、朽ちた我が家へと一目散に走る。
クリスタルの力は奪われたけれど、聖女の力を受け継いでいるのは紛れもなくこの私だ。
聖女の力がない人にリュードルは見えることもないし、ましてや使役しようものならばリュードルだって抗うはずだ。
迷うことなく私は、瓦礫の山に足を踏み入れ必死に捜す。
それらしき痕跡は残ってはおらず焦りが滲み出てきてしまう私は、もう一度彼の名前を呼ぶ。
「リュッ――」
声を発しようとした私の口を誰かが押さえてきて、最悪の事態に備えて構えを取る。
ただその手は簡単に解かれて呆気のなさに、思わずバランスを崩しかける。
「まったく……少し見ない間に成長して帰ってきたのかと思えば、何一つとして変わってなさそうだ」
そう言って私の手を取ってくれたのは、私と同じ顔をした私の器だった。