「まっ魔族!?しかも、エルフだと!?」
「おい聞いてねえぞ!」
「斬ることには変わらねえ!さっさと殺るぞ!」
一瞬怯んだ様子だったけれど、魔族相手に迷いを無くした盗賊達は真っ直ぐにフェイムに剣の切っ先を向け――。
それと同時に誰かに押された感覚と、魔法陣が私を包むことなく消えていくのが見えた。
魔法陣が発動しかけた際に出る淡い光のカーテンに、僅かながらの赤黒い何かが飛び散った。
宙にギラギラと光る剣の破片が回りながら、地面に鈍く突き刺さった。
「フェイ……ム……」
彼の名前を呼ぶと尻もちを着いて呆然としているフェイムの姿が、手を伸ばせば掴める所に温かい彼がちゃんといた。
ただ呆然としているのは彼でなく私も同様で、何がどうなっているのか分からずにいると、私達の前に影が落ちた。
「――雑魚が調子乗ってんじゃねえぞ」
斬られた腕を抑えながら倒れる、盗賊の一人は呻き声すらも上げれず、その場にどさりも倒れた。