「眠れ 眠れ 森の囀り 子守唄の慰めに 今この唄を《オラトリオ=セルダム》」



癒しの力を持つ魔法を唱えると、光の粒が蝶のように舞い、親ドラゴンの周りをくるくると回る。



するとようやく我に返った親ドラゴンは、吐き出す炎の火力を弱め口を閉じると、最後には大人しくその場に伏せた。


何とかなったと胸を撫で下ろして壊れる寸前だった盾が、もう無理です!と言うかのようにその場で弾け、その勢いに負けた私は後ろへと飛ばされる。


なんで護りの盾が護る対象を吹き飛ばすのよ馬鹿っ!


やってくるその衝撃に構えて、腕の中にいる子ドラゴンに怪我はさせぬと身を丸めぎゅっと瞼を閉ざすことしか出来なかった。