「あなたが一人で守りきれないものを、僕も一緒に守るよ」
「フェイム……」
「僕が強いのは十分知ってるでしょ?」
何とも頼れる人なんだろう、と胸が熱くなっていると、フェイムは着ていたローブを脱ぎ捨て、馬車から下りると深く呼吸すると魔法陣を展開させていく。
それを阻止しようと一人の盗賊がフェイムに切りかかってくる直前にトウハさんが、長い足で盗賊を蹴り飛ばした。
メキメキと木の幹にのめり込むように飛ばされた盗賊は、泡を吹いてピクリともしない。
トウハさん……流石にもう少し手加減しないとマズいんじゃない?
「援護ありがとうございます」
「いえ。こちらこそ我が主の欲望が生み出した、この事態に巻き込み大変申し訳ございません」
謝るトウハさんを見てフェイムは何かを察したようで、やれやれと苦笑を浮かべた。
ただそれ以上は何も言うことなく、魔法陣を展開させていくことに集中していく。