ガラの悪い人から、明らか何人か葬ってきたであろう人……そんな盗賊達に囲まれていた。
「殺しはしねえ。その馬車にいる男を置いて消えな」
「抵抗するならこっちも本気出すゼェ?」
「貴方様は御二方をお連れしてお逃げ下さい。この数ならすぐに終わります」
「トウハさん!」
言うや否や切りかかってくる盗賊達に向かって、武器もなしに飛び込んで行った。
風を切る怪しく輝く剣が弧を描くのを、トウハさんは見事にも避けては盗賊に拳と蹴りを繰り出した。
どうすることも出来ない私は、とにかく二人の意識を取り戻すために全力を尽くすことにした。
「お願いっ……!!」
魔力が枯れるギリギリの所で回復魔法を注ぎ続けていると、フェイムが薄らと目を開けて意識を覚醒し、咳き込むフェイムは自らのそりと起き上がった。
「フェイム!!」
「リ、ゼさん……こ……こは」
「話は後で。それよりも外で戦ってるトウハさんの援護をしてほしいの……!!」
隣には弱り果てた相棒のジルの姿に、必死こいて回復魔法を唱えている私。
こんな状況をまだ全て把握し切れていないといった様子ではあるものの、外の緊迫した状況を見れば表情が一気に変わる。