手のひらに魔力を注ぎ込み、一つ息を整えて馬車の進む進路方向に光の盾を生み出す。


「うわぁっ!!」


見事馬が盾に突っ込むと、耐えきれなくなった光の盾は眩しい程の光を放ちながら粉々に砕けた。


どうよ!私の必殺目潰しの盾は!!


脆さは格別!その上めちゃくちゃ眩しい!


こんな盾を生み出せるのは、落ちこぼれの私だからなんだからね!!


鼻が高くなりそうになっている私にお構いなしに、作戦通り馬車が止まり盗賊達が光にやられている隙を見計らったトウハさんは、音もなく飛び出した。


「我が主……ルリナ様のお迎えにあがりました」


冷静なその声だというのに、聞く相手には背筋が凍るような威圧感が与えられる。


武器もなしにどうするのかと遠巻きで見守っていたものの、鈍い音がしたものの数秒後には、伸びた盗賊二人が地面に転がり落ちた。


「すっ凄い……」


噂に聞いていた獣人は人と姿形は違えど、身体的な能力の差はない……確かにそう聞いていたのに。


脚力も凄かったのはここまでの移動ですぐに分かったけど、まさかここまでお強いとは……。