この状況下で人様相手に胸がドキドキしているのは、一体どういう事?
二度目のドラゴンの咆哮によって、身が引き締まって自分がするべき事を探し出す。
「あれは本当にお前のお母さん?」
「クルル!」
「じゃあ……私がやるべき事はっ!」
この子を結界の中に入れて呼び込めば、きっと親ドラゴンも結界の中に入ってくれるはず。
そしたら急いで結界の修復、よしこれだ。
子ドラゴンをギュッと抱きしめて、破れた結界の中にこの子を戻そうと試みるけれど青年が地面に飛ばされていくのが視界に映り込む。
頭で考えていた事と体は真逆のことをし始めて、私は動く体に任せて全速力で青年の元へと走った。
親ドラゴンが炎を吐く寸前、私は青年のことを庇うように青年の前に立ち、ありったけの魔力を使って光の盾を作り出す。
「これ以上、傷つけるのはやめてっ!」
吐かれた炎をなんとか盾で押しとどめ、腹の底から力を吐き出すように盾に力を込める。