ギルドで手を貸してくれる人を探さなきゃいけないのに、ギルドに近づくにつれて人はごった返しになり、中に入りたくても入れない。
「通してくださ――きゃっ!」
男達に押し流されるように民家の壁に叩きつけられた私は、顔を顰めながら痛みを堪えた。
「どうしよう……こんな状況下で私に雇われてくれる人を探すなんて……」
どうやらギルドにはハンターや冒険者達が今後の動きを確認すべく集まっているらしく、依頼なんか聞いてくれる人はいなさそうだ。
ここにフェイムが居てくれれば、高位魔法でなんとかしてくれそうなのに。
そんな彼はここにはいないんだから、私一人の頭でどうにか考えなきゃ。
でもどうやって帰ればいいんだろう。街の外に出るのも危険な様子だし、だからと言ってこの場にいるのはもっと被害が拡大してしまう事になる。
「落ち着いてくれ!出回っている情報にはデマが混じっている!それを一つ一つ確認するのにも手間が掛かる。手分けして情報を確認するぞ」
人集りの中心部分から小さくだけど、そんな声が聞こえてきた。
デマ……?どうしてそんなものが回っているんだろう。
一刻も帰りたいのにそれを阻止されて――。