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自国へ帰ろうと足を動かしていたけれど、半分魂が自分に宿っていないような足取りになっている事に気づき足を止めた。
帰る道は決まっているけれど、このまま一人で帰れるかと言われたら流石に厳しい。
どうやってここまで辿り着いたか、それは彼らが着いてきてくれたから。
いざ魔物が出て来た場合、一人で太刀打ちできるわけはなく……逃げ遅れれば待っているのは死だけ。
一旦街に戻ってジル達に払わなかった浮いたお金で、傭兵を雇うのが妥当だと元来た道を戻る。
ほんの数時間だけ街から離れただけだというのに、懐かしい情景に見えてしまうのは今は一人だからなのだろうか。
隣にいてくれた人達がいたのはもう過去の出来事になってしまったと、今更思い知る。
って……そんなこと考えたって、彼らとずっと旅ができるわけでもないんだから切り替えなさい、リゼ。