「クー!」
嬉しそうに子ドラゴンが鳴くが、その声すらも聞き取らないほど我を失っている。
あれは間違いなく、この子ドラゴンの母親。
何故あんなにも怒り狂っているのか検討も付かず、どうしたものかとあまり役に立たない頭をフル回転させる。
一旦この場は引くべき?
それともほぼ使えない攻撃系の魔法を使って案の定失敗して、ドラゴンにむしゃむしゃ食べられちゃう?
後者は絶対お陀仏する未来が見えるからしないとして、一旦引いた所でこの被害を街や村に広げるのは避けたい。
ほんの僅かな親ドラゴンの気の緩みがあれば、何とかなるはずなのにその手段を持ち合わせていない。
どうしたものかとどんどん焦る気持ちが煮えたぎっていくと、一つの声が私の耳に届いた。