それがキスだと気づいた時には、今度は唇を奪われていた。


初めてのキス、それがこんな形で訪れるとは思ってもなくて、頭の中は真っ白になってしまう。


これが……キス、なの?


呼吸の仕方も忘れる程に、ジルが私の唇を啄んでは離してくれない。


激しいキスに身体の力が抜けそうになるのを、ジルが背中に回した腕でそっと支えてくれる。


ようやく唇を離してくれたジルが、呼吸を乱す私を見て悪戯げに微笑んだ。


「愛くるしいな……俺のリゼは」


ジルの瞳に映る私の顔は、見るからに呆然としながらも蕩けていた。


「他の男にやってたまるか。もう俺は我慢はしない」


再び近づいてくる彼の気配に、目を閉じてその温もりを待った。


優しく触れた唇を私からそれ以上は求められなくて、離れていくのが妙に切なかった。


一瞬、ジルが周りを気にしたと思えば満足そうに一つ頷いて頭を撫でられる。