一人で入った時はあれだけ恐怖心で潰れそうになっていたっていうのに、隣に誰かがいるだけでこんなにも違う見え方になるんだなあと辺りを見渡した。


明かりを灯さないと足元が見えなかったというのに、魔窟が私を受け入れたかのように道にちらりと覗く鍾乳石が淡く光を放っている。


飛竜と出くわしたあの空間の鍾乳石程ではないけれど、ここにある鍾乳石も魔力があるようでその身に余った力を光に変えているようだ。


そう言えば……と思い出したことを口にする。


「ねえ、フェイム。あなたが私の元に来るまでに大きな魔物は他に居なかった?」


飛竜ともう一つの大きな魔力の持ち主に挟まれるのを避けるために何とかしようとしていたけれど、飛竜と鉢合わせた後にその魔物には出会わなかった。


あそこまで来るのにフェイムが力でなんとかしてくれていたのだろうかと、お礼を述べようとした私にフェイムは首を傾げた。


「出会わなかったけど?」


「おかしいわね……私が使った探知魔法には確かにもう一つ大きな魔力の塊があったんだけ――」


最後まで言わずともあっさりと答えが出て、なんの事か分かっていないフェイムをじっと見た。


……犯人はどうやら、自分の魔力の大きさに気づいていない彼のようだ。