街で散策中にルリナさんの家でゼノが助けを求めていたこと。
彼を助けようとしていた私に漬け込んだルリナさんが要求した、魔窟に結界を張る命を私に下したこと。
弟が魔窟にいるから助けて欲しいと言ったゼノのために、魔窟へ向かったこと。
魔力が底を尽きた私の前にやってきた飛竜に、殺されそうになったこと。
それを助けた目の前にいるフェイムのこと。
順々と事の経緯を話して、私を助けてくれたフェイムを見ると少しだけ眉間にしわが寄っていた。
その表情がどことなく苦しそうに見えて、手を伸ばすと私の話を聞き終わったフェイムがそっと頭を撫でてきた。
「君が無事で本当に良かったよ」
彼が呟いたその声は微かに震えているようなそんな気がした。
ただ温かいその手の温もりは、私を何度も何度も優しく包むように頭を撫でてくれた。
穏やかなフェイムの顔を見て、何故か少しだけ頬が熱くなったのはきっとルーディさんに魅了されたのが続いてるせいだと変に言い聞かせていると、フェイムはゆっくりと手を下ろした。
「これから言うことはジルには内緒にしていてほしい」
真剣そのものと言った表情で見つめられると、自然と首を縦にしか振れなくなる。
私のその反応を見てから、フェイムは開いた口から空気を零してから言葉を紡ぎ出した。