でも、やると決めたからにはやらなくちゃ。
弟さんを見つけるそれがまず最優先事項で、 敵と戦うというのは選択肢に入れない方がいい。
やるべき事を全うするだけ、それでいいのよリゼ。
そんなことを言い聞かせながら歩き続けると少し霧が薄くなって来たと思えば、湿った空気が真正面から流れてくるのに気づき、凝視するようにその方向を見つめた。
「……着いたよ、お姉ちゃん」
ゼノの緊張した声と共に僅かながら霧が晴れると、大きな口を開けた洞窟が待ち受けていた。
ゴウ……と地を這うような低い風の通り抜けて行く音に、今まで私の前を歩いてくれていたゼノが後ろに後ずさる。