どうやら落ちこぼれのちょっとした回復魔法でも、彼にとっては大きな魔法に見えたようでちょっぴり興奮してるようにも見えた。
小さく笑って聖女であるかどうかという質問に、渋々頷くしかない。
「でも今は事情があって魔力ほどんとないの」
「そう、なんだ」
「何か期待させちゃったらごめんね。あ、そう言えば自己紹介がまだだったわね。私はリゼ。アルゼリオ国の聖女をやってるの。君は?」
「オレはゼノ。精霊レヴィローラ様に遣えてる守り人の息子で、森の麓で家族三人で暮らしてるんだ」
「守り人?」
そう言えば……ルリナさんや門番達に闇蜘蛛の魔女の子供だとか何だとか言われていたのを思い出す。
「母さんはレヴィローラの大森林を守るエルフなんだ。街の人達は人間とは違う血が流れてるからって、オレ達のことを嫌ってるんだ」
「たかがそれだけで?」
「お姉ちゃんはオレの事、その……嫌じゃないの?」
「嫌う理由が何もないもの」
呆れた……たかがそんな理由で、しかも子供相手に大人達が騒ぐなんて馬鹿馬鹿しい。