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男の子の手を引いて、そのまま宿屋へと戻ろうと思ったけれど、どこかでジルやフェイムに会う可能性や、この子がルリナさんや門番に良くない呼ばれ方をされていた事から、人目のない街外れの木々に囲まれた小高い丘へとやって来た。
人がいないことを重々気をつけて確認した所で、小さな切り株を見つけると男の子をそこへと座らせた。
「ごめんね、ここまで歩かせちゃって」
男の子の目線に合うように彼の真正面にしゃがみ込むと、僅かに瞳を潤わせているのに気づき顔を覗かせる。
「どこか痛む所ない？」
押し倒された時に出来た怪我はないかと聞くけれど、男の子は唇を噛み締めながら強く首を横に振った。
目を合わせてくれない……まあ、無理もないか。
ここまで勢いだけで私が連れてきたけれど、初対面の私にそんな簡単に心を開くとも思えない。
それにさっきまで大人の威圧的な空気感に飲まれていたんだし、私に対しても恐怖心を抱いてもおかしくない。
