「話を理解してくれているようね。まあ簡単な事よ、この街とレヴィローラの大森林を繋ぐオルドスと呼ばれる魔窟の結界を張り直してちょうだい。ああ、もちろん誰の手も借りずに、この事は誰にも言わずに貴方一人だけで。聖女の貴方なら、それくらい容易いでしょう?」
「魔窟……」
「仮にこの条件を断ったり誰かに助けを求めたり、最悪結界が張れなかったりしたら、貴方の行いを国王に報告する。そして――ジルゲイル様に金輪際近づかないで」
ああ……つまりはそういうこと。
付け加えられた言葉に、私は全てを理解した。
ルリナさんはジルに近づいた私が憎いらしく、どうにかして私を引き剥がしたいらしい。
でも聖女であるということを理解していて、結界を張ってこいなんていう条件を出すなんて……少し甘い考え方を持っているの?
難なく成功したら彼女には何ら利益は齎されないというのに。
「どう?やるの、やらないの」
現時点で私は彼女の手の平の上で踊らされているのだろうか。
それすらも見破ることが出来ない私の方が、まだまだ甘い考えを持っているといってもおかしくない。
ルリナさんの鋭い視線に首を締められていくような感覚に、今すぐ振り払いたくて答えを口にした。