聖女の証のクリスタルを実物を見たことがないのか、クリスタルが欠けていることまでバレてはいないみたい。


国外追放寸前の私に怖いものは何もないけれど、アンゼリオ国とシェルアバド国は同盟を結んでいる。


しかも相手は侯爵家の娘と来た。


私の言動によってシェルアバトの国王に、この人が何かを告げ口して、アンゼリオに負担が掛かるような事にはなりたくない。


自分はどれだけ貶されようが何されようが個人の問題で済む話だけど、国を巻き込まれたらアンゼリオの民達が苦しむ事になる。


それだけは避けなければと、私は決意を固めた。


「私にどのような条件を飲み込めと仰るのですか」


私のその言葉にルリナさんは、頬をニタァと緩ませて気味の悪い笑みを浮かべた。