空いた片手で首に掛け服の下に隠していた、クリスタルのペンダントが姿を顕にしていたのを、咄嗟に隠すがルリナさんは嬉しそうな笑みを浮かべる。
転んだ拍子に不幸にも服の外へと出てしまったらしい……こんなことで人に見られるなんて不覚だった。
「そう言えば貴方の名前を聞いてなかったわね。お聞きしても?」
「……リゼ・マーキアスと申します」
「そう……貴方、隣国の聖女様だったのね?噂には聞いてはいたけれど、実物を見るとその噂以上の人物のようね」
「何故、私のことを知っていらっしゃるのですか……?」
「王都で開かれた舞踏会に参加した際に、アンゼリオの王子が来賓として居らしてね。クリフ王子でしたっけ?そこで貴方の出来損ないっぷりを披露してましたわよ。それはそれはもう、城から追い出したいと強い気持ちがあったみたいで。まあ……貴方を見る限り、王子のその気持ちがよく分かりましたけど」
嘲笑うルリナさんはこの際どうでもいい。
あの馬鹿王子……隣国の舞踏会で、そんな自国に遣える人間を罵倒する必要ある??