振り向けば、




「お前………」




途轍もなく、驚いた表情をしている蓮くん。



握られている手に何やら力がこもっていて。




「?」




私は、そう疑問に思うことしかできなかった。




「………なに?」


「……いや。



やっぱり、なんでもねーわ…。」




力が緩くなる。



それと共に、彼の表情がちょっとだけ曇った。




「悪い………。」




手をズボンのポケットに突っ込んで、



私に背を向ける。



ヒラリとあげられた片方の手が、私に「じゃあな、」っと伝えた。




「………………」




何を思い出したのか。



何を考えていたのか。



何を言いたかったのか。



……未だに私は、



彼がよくわからない。