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「春。」





夕食の準備が出来て


まだグッスリと眠る春を起こすのに抵抗を持ちながらも、冷めてしまうから、と声をかける。




疲労に効く野菜と豆乳を使って今日はグラタンを作った。


冷めてしまうと、美味しくない。





「起きて、ご飯出来たよ」

「…………………」

「………、春。」





再び、名前を呼ぶ。



すると、




「ん……」




声を漏らす春はまだ眠そうに目を摩っていた。





「ご飯、冷めるよ」

「……、あー……」





「しまった…」と、頭を抱えているコイツは


起きて早々


なにやら後悔しているらしい。







「ごめん。また寝てた…」

「いや、別に寝るのは構わないけど」





そんな事よりも





「無理、しない方がいいんじゃない?」



「………え?」





ソファーに座る彼はそばに立つ私を見上げる。



その目はどこか驚いているようで





「相当疲れてるみたいだから」





そんな彼を横目に


起きた事を確認できたし、


私は先に夕食を用意した場所へと向かう。





「余計なお世話かもしれないけど、しんどい時はしんどいって言わないといつか身体壊すよ。

疲れているなら無理して笑う必要もないから」





まだソファーにいると思っていたから



早く来い、ご飯が冷める。



そう言わんばかりに振り向くと、

同時にフッ…と視界が暗くなった。





それは目の前に春がいるから起こる現象で





「心配、してくれてるの?」

「っ、」




私を見下げるその顔は、真剣そのものだった。



だけど、どこか嬉しそうな、その表情。