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連れてこられた場所は
私が予想していた場所とは違う所で
「う、海…?」
なぜか、海にいる。
冬の海なんて初めてだ。
「俺さ、冬の海結構好きなんだよね」
車を近くに止めて、波際まで歩いていくコイツの後を追いかけた。
「夏の海もいいけどさ、夏になると海水浴をしにくる人で多くなるでしょ?
冬だとこの通り、誰もいない。」
コイツの言う通り、確かに誰もいない。
夏とは違ってガランとした場所になっている。
「人多いの、落ち着かないんだよね。」
そう言うと共に、彼は首元のマフラーを外す。
そして、綺麗な顔が露わになった。
不覚のことに、ドキッ、としてしまったのも無理はない。
海を前にして立つ彼は、絵になるくらいのかっこよさだから。