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かれこれ2時間は経ってしまったけど、まだまだ見たい物はたくさんある。



……けれど、さすがにアイツをずっと放置するのも良くないと思って、探す。



(あっ……いたいた。)



意外にも、彼は小説コーナーにいた。


【映像化作品】と書かれた場所で、何かをジッと見つめてる。




その顔はいつもニコニコと笑う顔とは違って


とても真剣に、何かを見つめていた。




「良いものあった?」




そんな彼を覗き込むようにして見てやれば




「!!」




とても驚いた顔をする。


そんな驚かなくても…と思うくらいに。




「……ああ、なんだ、凛か。 店内回れた?」

「うん、ちょっとはね」

「じゃあ回れてない所見ておいで」

「そうすると、アンタつまんないでしょ?」




そう言えば、意外にもコイツはキョトンとした顔を見せた。



「うん、暇~」とか言うと思っていたのに。





「ううん、全然?

凛が楽しいなら俺も楽しいよ。」





「だから気にしなくていいからね?」と、ポンッと私の背中を軽く押す。





「ほら、行っておいで」





優しい顔で微笑んでくれている気がした。




この時、初めて



(マフラー邪魔だなぁ…)



その笑顔が見たいと思った。